世界中のオペラファン、音楽ファンが注目するバイエルン国立歌劇場『タンホイザー』プレミエ、5月21日にその歴史的な舞台の幕があきました。

バイエルン国立歌劇場 『タンホイザー』より
写真右:ロメオ・カステルッチ(演出)
公演の様子は公式ホームページでも改めてご紹介いたしますが、その前にロメオ・カステルッチの語る『タンホイザー』、演出コンセプト第2弾の映像をおとどけします。エピソード2では「弓と矢」がキーワードです。ぜひご覧ください!

リハーサル風景より
© Bayerische Staatsoper Wilfried Hösl
(翻訳)
ロメオ・カステルッチの新演出におけるシンボル ~ エピソード2 「弓と矢」
弓と矢のイメージは台本から直接来ています。
ヴェーヌスベルクの前奏曲ではキューピッドがもつような矢がたくさん出てきます。
ワーグナーのヴェーヌスベルクの世界では、矢は愛を象徴すると同時に、矢が創る傷も象徴しています。
第1幕の後の方で、領主ヘルマンと騎士たちがハンター狩人として登場します。
すると矢が再び現れます。面白いことに、タンホイザーはいつも被害者です。
タンホイザーは常に追われるのです。まるで動物のように、獲物のように。
彼はヴェーヌスの世界(ヴェーヌスベルク)で捕らえられ、領主の世界(ヴァルトブルク)でも捕らえられる。
そしてタンホイザーはこれらの罠から逃れようとするのです。
対照的に、弓はハープを意味する部分があります。
音楽に詳しい考古学者たちは、弓というのは楽器の原始的な形を示していると言います。
弓はタンホイザーのハープを意味しているのかもしれません。
そして間違いなく、弓は、時を象徴しています。
つまり、タンホイザーとエリーザベトの物語は時というテーマと関係していると言えるでしょう。
二人は現世を超越した異次元でしか会うことはできないのです。
いよいよ『タンホイザー』の初日まであと2日!
バイエルン国立歌劇場では本番直前まで入念なリハーサルが行われており、連日のように現地ではニュースに取り上げられています。今回のプレミエが劇場にとっていかに大きな挑戦であるか、ミュンヘンの人々ならず、世界中のオペラファン、音楽ファンが注目している中、いよいよそのヴェールがはがされようとしています。
左からクラウス・フロリアン・フォークト(タンホイザー役)、ロメオ・カステルッチ(演出)
NBSのスタッフも5/18(木)に現地入り。リハーサルにお邪魔しましたが、マエストロ・ペトレンコとバイエルン国立歌劇場のオーケストラの紡ぎだす圧倒的な音色に完全にノックアウトされた様子。もちろん主役のフォークトをはじめ絶好調の歌手陣にも期待が高まるばかりです。
© Bayerische Staatsoper Wilfried Hösl
そんな本番直前のさなか、演出を担当するロメオ・カステルッチが演出コンセプトを語るメッセージ映像が届きました!
今日から4回に分けてご紹介してまいります。初回は「金の円盤」をキーワードに語っています。ぜひご覧ください!