達磨を初祖に仰ぐ禅の教えは師から弟子へ連綿と受け嗣がれ、今にその法脈が受け嗣がれています。
相国寺は、夢窓疎石
(むそうそせき)
を勧請開山に仰ぎます。その教え、つまり法は鎌倉時代に日本へやってきた無学祖元
(むがくそげん)
から日本僧、高峰顕日
(こうほうけんにち)
へ伝えられ、夢窓疎石に嗣がれたものです。
法が嗣がれたその象徴として、師の絵姿や袈裟が弟子に渡されます。
その絵姿を頂相
(ちんそう)
といいます。頂相は法を嗣いだ証であるだけではなく、師の回忌法要の際にもかかげられます。夢窓疎石の遺徳を仰ぐ開山忌、第二世の春屋妙葩
(しゅんおくみょうは)
の普明忌などは、今も相国寺の重要な仏教行事として厳修されています。
本展覧会では、法脈を今に伝える頂相を数多く初公開いたします。
相国寺本山と、相国寺の塔頭それぞれに育まれた禅僧の営みを、ご覧ください。
無学祖元
(むがくそげん)
頂相 春屋妙葩賛 伝趙子昂筆 慈照院蔵(Ⅰ期)
高峰顕日
(こうほうけんにち)
頂相 相国寺蔵(画像4)
夢窓疎石
(むそうそせき)
頂相 自賛 相国寺蔵
中国の祖師たちとその遠忌
中峰明本
(ちゅうぼうみんぽん)
頂相 慈照院蔵(画像5)(Ⅱ期)
雲門文偃
(うんもんぶんえん)
頂相 雲谷等與筆 相国寺蔵(Ⅰ期)
初公開
昕叔顕晫
(きんしゅくけんたく)
頂相 慈照院蔵(五幅、展示替あり)
初公開
西笑承兌
(せいしょうじょうたい)
書状 鹿苑寺蔵
鳳林承章
(ほうりんじょうしょう)
頂相 鹿苑寺蔵(三幅)
隔蓂記 鳳林承章筆 鹿苑寺蔵
第五章
祖師の遺品
[ 主要展示作品 ]
初公開
袈裟 観中中諦所用(Ⅰ期)
みどころ 1
二つの列祖図 相国寺の三十幅
(Ⅰ期)
と大應寺の二十八幅
(Ⅱ期)
禅宗の歴代の祖師を描いた列祖図が、相国寺派に複数伝来しています。そのうち、相国寺本山に伝来する列祖像三十幅をⅠ期に、そしてⅡ期には初公開、大應寺伝来の列祖二十八幅を展示いたします。相国寺の列祖像は承応四年(一六五五)の内裏造営の際に障壁画を担当した狩野派の絵師が、相国寺を絵所とした縁で制作を依頼したものです。一方の大應寺の列祖像は承応二年(一六五三)に古筆了佐
(こひつ りょうさ)
が大應寺に寄進したもので、当時の相国寺や大徳寺の和尚が着賛をしています。同時代の二組の列祖像を、今回の展覧会で楽しんでいただけましたら幸いです。
みどころ 2
頂相を描く禅僧たち
頂相には、絵姿の上部に賛文がともなうものが多く、着賛者が誰か、そして誰に与えたのか、といった情報が込められています。今回は昕叔顕晫
(きんしゅくけんたく)
、鳳林承章
(ほうりんじょうしょう)
といった十七世紀に活躍した禅僧の複数の頂相を展示し、禅僧の頂相がいつ、どうして描かれたのかを探ります。一方で、絵姿を描いた絵師については、一部の頂相にのみ落款印章が確認されるものの、絵師がわからない作品も少なくありません。ただ、江戸時代の頂相において、絵姿を描く人物が文室宗言
(ぶんしつそうげん 相国寺法住院第九世)
や、維明周奎
(いめいしゅうけい 相国寺第一一五世)
ら、相国寺派の禅僧である場合、その痕跡が本紙や箱書によって判明するものも多く伝えられています。中世には周文や雪舟らを輩出した相国寺で、江戸時代に活躍した画僧たちの画技をご覧ください。
みどころ 3
相国寺の復興と頂相制作
相国寺の第一世であり、鹿苑寺や慈照寺の勧請開山でもある夢窓疎石
(むそうそせき)
の頂相は、相国寺本山や塔頭に複数伝来しています。その成立が中世に遡るものも複数ありますが、江戸時代に入って新たに制作された頂相も多く伝来します。
今回は、狩野派、住吉派などに属する職業絵師たち、そして相国寺の画僧による頂相など、本山や塔頭に伝来する夢窓疎石の頂相を複数公開いたします。
また、Ⅱ期には中峰明本
(ちゅうぼうみんぽん)
の中国元時代製作の頂相から近世相国寺で制作された頂相まで複数ならべて公開いたします。同じ禅僧の頂相でも絵師によって異なる細かな差異を比較していただけましたら幸いです。
夢窓疎石
(むそうそせき)
頂相
住吉具慶筆 林光院蔵
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