新型コロナウイルスによるロックダウン（都市封鎖）の間は急速にリモートワーク関連サービスの需要が高まった。その後人々は「オンライン」であることに慣れ、規模を問わず多くの企業がクラウド移行を進めている――。日本より一足早く新型コロナウイルスが広がり、ウィズコロナや第2波の接近を経験しているのが中国だ。中国ではアフターコロナ（コロナ後）に向けて、日本よりも早く様々なサービスのオンライン化が進んでいるという。 　こう見るのは中国発のクラウドベンダーであるアリババクラウドだ。同社は今、ウィズコロナやアフターコロナに向けた企業の動きを支援するためのサービスの拡充を急いでいる。アリババクラウドが経験した同社のクラウドサービスに対するニーズの変化や新サービスの提供方針から、日本におけるアフターコロナ時代の企業システム像が見えてきそうだ。 　緊急事態宣言を受けて多くの日本企業がテレワークを実施したように、ロックダウンが行われた中国でも急速にリモート環境の整備が進んだという。その中でも利用が進んだのがアリババクラウドのコミュニケーションツール「DingTalk」だ。2020年3月時点でDingTalkのアクティブユーザー数は1億5500万人に達したという。教育のオンライン化も進みDingTalkを利用した授業は1日平均100万回以上に達した。 　こうした動きを経て「中国ではすべての産業のオンライン化、オンデマンド化が進んでいる」とアリババクラウド・ジャパンサービスのカントリーマネージャーを務めるユニーク・ソン氏は話す。テレワークだけでなく、「教育やEコマースなど様々な分野がオンデマンド化した」（ソン氏）という。 　オンラインでのビジネスの普及により、「クラウドサービスへの需要が高まっている」とソン氏は話す。オンラインビジネスを手掛ける企業が増えるほど、オンプレミス（自社所有）環境よりもクラウドサービスを利用する企業が増えてくる。その結果「セキュリティー、ネットワーク、データベースなどのクラウドサービスに関するニーズが高まっている」（ソン氏）という。 データ分析への注目が高まる 　産業のオンライン化の支援がウィズコロナを踏まえた動きだとすると、その先にあるアフターコロナ時代へニーズが高まっている分野がAI（人工知能）やIoT（インターネット・オブ・シングズ）だ。コロナ対応によって「中国企業はAIoTとクラウド時代の幕開けに直面していると考える」（ソン氏）。AIoTはAIとIoTを組み合わせて活用することを指す。

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