昭憲皇太后は嘉永3年、一条忠香公の第三女としてご誕生になられました。ご幼少の頃より資性ご聡明で仁慈、博愛、謙譲、貞節など尊くも美わしい婦徳のかがみと仰がれておりますが、殊に女子教育のご奨励と博愛、慈善の事業については、きわめて大きな役割をお果たしになりました。お茶の水の東京女子師範学校の設立の際には多額のお手許金を下賜され、また開校式にも行啓されました。
とりわけ日本赤十字社の設立と経営に尽くされ、赤十字国際委員会に寄付された「昭憲皇太后基金(Empress Shoken Fund)」は、赤十字の平時における救護活動の先例となり、いまでも世界各国の赤十字助成のために活用され、今日までその恩恵に浴した国は、170ヶ国におよんでいます。
昭憲皇太后は大正3年4月11日、明治天皇のみあとを追われるごとく崩御され、伏見桃山東陵に埋葬せられました。