最近よく耳にする「CEFR」とは、外国語の運用能力を評価するグローバルスタンダードな指標のことです。国際通用性が高く、国や言語を超えて英語力を評価・証明できることが特徴です。
とはいえ、CEFRの「B2」や「C1」などといわれても、どのくらいの英語力なのかあまりピンと来ないかもしれません。そこで今回は、CEFRの各レベルの英語力について、主な英語要検定試験への換算スコアとともに徹底解説します。
CEFR(セファール)とは?
CEFR(セファール)とは、外国語の運用能力・熟達度を同一の基準で評価するグローバルスタンダードな指標のことです。外国語の学習、教授、評価で活用すべく、わかりやすく包括的な指標として、20年以上にも及ぶ研究の末、欧州評議会によって2001年に公開されました。
英語だけでなく、日本語や中国語を含む全40言語で参照枠が提供されており、教材開発や教員研修、教育課程の改革など、あらゆるシーンで幅広く用いられています。たとえば、国内最大級の英語検定試験「英検(実用英語技能検定)」は、2016年からCEFRに基づいたスコア表示を導入しています。
CEFRは、自分の英語力をグローバルな基準で客観的に示すのに役立ちます。日々の英語学習の目標の一つとして、CEFRを意識しておくと良いでしょう。
CEFRのレベルは6段階
CEFRでは、外国語の運用能力を「6段階」で評価します。下から順に「A1」「A2」「B1」「B2」「C1」「C2」となります。ちなみに、Aは「基礎段階」を、Bは「自立段階」を、Cは「熟達段階」をそれぞれ示しています。
CEFRのレベルを徹底解説:「C2」「C1」レベル
CEFRの「C2」と「C1」は、「熟達した言語使用者」に位置づけられているレベルです。ここでは、C2とC1の英語力でできることや、主要英語検定試験への換算スコアを紹介します。
C2レベル
C2レベルは、CEFRの最上級レベルです。ネイティブに限りなく近いレベルで、非常に高度な英語力を身につけているものとされています。
CEFRの各レベルでできることの具体例をリスト化した「CAN-DOリスト」では、B2の英語力でできることとして、次のようなことが挙げられています。
C2の英語レベルを主要検定試験に換算すると?
C2レベルを主な英語検定試験のスコアに換算すると、下記のようになります。
英検と TOEFL iBT、TOEFLは、相当するスコアが存在しないため、C2レベルを測定することはできません。C2を目指す場合は、ケンブリッジ英検やIELTSなど、確実にC2を測定できる試験を受験する必要があります。
C1レベル
C1レベルは、CEFRで上から2番目に高いレベルです。上級レベルの英語を話し、英語圏で問題なく自立できるとされています。公式の「CAN-DOリスト」によると、C1レベルの人は4技能において次のことができます。
C1レベルを主要検定試験に換算すると?
C1レベルは、主要英語検定試験でいうと下記のスコアに相当します。
これらのスコアを持っている場合、C1相当の英語力があります。英検でいうと最も難関な1級にほぼ相当するなど、非常に高い英語力であることがわかります。
CEFRのレベルを徹底解説:「B2」「B1」レベル
CEFRの「B2」と「B1」は、「自立した言語使用者」に位置づけされているレベルです。これら2つのレベルについて、順に詳しくみていきましょう。
B2レベル
B2レベルは、中上級レベルです。B2レベルに達すると、ビジネスの場でコミュニケーションを取るなど、B1ではできなかったことができるようになります。
B2レベルを主要検定試験に換算すると?
B2レベルに相当する主要検定試験のスコアは下記のとおりです。
B2レベルは、英検でいうとおおよそ準1級、 TOEFL iBTでいうと72〜94点に相当します。上の表のいずれかのスコアを取得した場合、英語力は「B2」と評価されます。
B1レベル
B1レベルは、下から3番目に位置する中級レベルです。基礎的な英語力を身につけているものの、ビジネスシーンやアカデミックな場で活躍するには英語力が不十分であるとされています。
ちなみに、EF Education Firstが発表している『 世界最大の英語能力指数ランキング 』によると、日本のEF SETの平均スコアはCEFRの「B1」レベルに該当するものでした。
具体的には、B1の英語力があると以下のようなことができます。
B1レベルを主要検定試験に換算すると?
B1レベルを主要検定試験に換算したスコアは、下記のとおりです。
CEFRのレベルを徹底解説:「A2」「A1」レベル
CEFRの「A2」と「A1」は、「基礎段階の言語使用者」に位置づけされているレベルです。ここでは、2つの基礎レベルの英語力について、詳しく紹介します。
A2レベル
A2レベルは、CEFRで下から2つ目に位置する「基礎」レベルです。日常会話で必要な基礎的な知識とコミュニケーションスキルを身につけているとされています。
たとえば、海外旅行先で観光をしたり交流をしたりすることはできますが、それ以上の深い友人関係を築くことはできない程度の英語力です。「CAN-DOリスト」では、具体的にできることとして以下のようなことが挙げられています。
A2レベルを主要検定試験に換算すると?
A2レベルは、主要検定試験でいうと下記のスコアに相当します。
英検でいうと、おおよそ準2級に相当する英語力です。A2は基礎レベルに相当するため、IELTSや TOEFL iBTなど、難易度が高い英語検定試験では算出することができません。
A1レベル
A1レベルは、CEFRで最も基礎的なレベルです。「初学者」とみなされる学習者を指しており、最低限の英単語や日常表現なら分かるものの、会話に時間がかかるレベルです。
CEFRでは最も低いレベルですが、英語を学び始めたばかりの学習者の場合は、A1の準備段階である「pre-A1」に該当することが多いです。A1の英語力でできることの例としては、以下のことが挙げられます。
A1レベルを主要検定試験に換算すると?
A1レベルを主要検定試験のスコアに換算すると、下記のようになります。
A1は、英検の3級程度の英語力に相当します。A2と同様、難易度の高いIELTSと TOEFL iBTでは測定することができないレベルです。
CEFRレベルを上げるのに必要な勉強時間は?
CEFRを意識して英語を勉強していくにあたっては、レベルを一つ上げるのに、どのくらいの勉強時間が必要なのか気になりますよね。
CEFRの開発に携わったケンブリッジ大学英語検定機関は、CEFRのレベルアップに必要な勉強時間の目安を公開しています。これによると、CEFRを1レベル上げるのに必要な勉強時間はおおよそ「200時間」だとされています。
この数字はあくまでも目安であり、言語学習経験や年齢、勉強時間以外にどのくらい英語に触れるか、どのくらい熱心に勉強するかなど、さまざまな要因に左右されますが、ぜひ目安として参考にしてみてください。
CEFRレベルを意識した英語学習のステップ
続いて、CEFRレベルを意識した英語学習のステップを紹介します。
ステップ①:今の自分のCEFRレベルを知る
CEFRを意識して英語学習をしていくなら、まずは現時点での自分のCEFRレベルを知るところから始めましょう。
自分のCEFRを知る方法は、大きく分けて2つあります。1つ目は、直近で取得した英語検定試験のスコアをCEFRに換算する方法です。文部科学省が公開している『 各資格・検定試験とCEFRとの対照表 』などを参考にして、自分のCEFRを算出しましょう。
2つ目は、英語検定試験を受験してCEFRレベルを測定する方法です。試験を受験する手間がかかりますが、CEFR観世準拠の検定試験(ケンブリッジ英検など)を受ければ、自分のCEFRレベルを正確に知ることができます。
CEFRレベルの測り方について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
ステップ②:学習計画を立てる
自分の今のレベルがわかったら、目標とするCEFRレベルに到達するまでの学習計画を練りましょう。
上でお伝えしたように、CEFRのレベルを一つ上げるには、おおよそ200時間の勉強時間が必要です。たとえば、今のレベルが「A2」の人が「B2」を目指す場合、少なくとも400時間の学習時間を確保する必要があります。
ステップ③:発音で基礎を固める
英語学習で最初に学ぶべきなのは、「発音」です。発音から学ぶことで、英語の音を理解し、正しい音で単語やフレーズを学ぶことができるので、より少ない労力で効率的に英語学習を進められるようになります。
スポーツや音楽の世界でも基礎固めが大切なように、初期段階で基礎をしっかり固めておくことで、英語の成長スピードを飛躍的に速めることができます。
英語を学ぶ手順と、発音が重要な理由については、こちらの記事で詳しくお伝えしています。
また、プロンテストは定期的に発音セミナーを開催しています。発音に課題感を持つ方はぜひご参加ください。
ステップ④:語彙・文法を強化
次に、語彙・文法の知識を強化していきましょう。というのも、CEFRのレベルアップには、日常的な文章だけでなく、自分の興味・専門外の複雑な文章までしっかり理解できる高度な語彙・文法の知識が不可欠だからです。
この段階ですでに発音を習得できていると、正しい発音とセットで覚えられるのはもちろん、英単語と音を紐付けて覚えることができるので、非常に効率的です。単語帳だけでなく、英語のニュースやポッドキャスト番組、英字新聞など、幅広いコンテンツを活用しながら、使える語彙・文法の知識を増やしていきましょう。
ステップ⑤:インプット系スキルを鍛える
続いて、インプット系のスキルを鍛えていきます。インプット系スキルというのは、4技能のうち「読む」「聞く」能力のことです。
読んだり聞いたりした英語を素早くかつ間違いなく理解できることを目指して、さまざまな分野・スタイル(カジュアルな日常会話やフォーマルなビジネスシーンでの会話など)の英文を使ってリーディング・リスニング学習に取り組みましょう。
ステップ⑥:アウトプット系スキルを鍛える
基礎およびインプット系スキルを身につけた後は、アウトプット系スキルを強化していきます。アウトプット系スキルとは、4技能のうち「書く」「話す」のスキルのことです。
ここでのポイントは、自分の頭に入っている知識をフル活用して、実際に英語の文章を作成する練習をすることです。ライティングとスピーキングは、一見全く異なる2つのスキルのように見えますが、実は「英文を作成する」という点で共通しています。
英文を書いたり英語を話したりする練習に取り組みながら、アウトプット系スキルを鍛えていきましょう。
CEFRレベルを意識した英語学習にはプロンテストシリーズ
CEFRレベルを意識して英語学習を進める上で大切なのが、「使える英語を鍛えること」です。英単語を一つ覚えるにしても、リスニングやスピーキング練習をするにしても、「使うこと」を前提にして取り組む必要があります。
そこでおすすめなのが、当社プロンテストが提供するスピーキング練習アプリです。プロンテストシリーズのアプリを使えば、独学でもネイティブに通じる英語を発音からしっかり身につけることができます。
以下では、プロンテストシリーズのアプリ『発音特訓パック』と『プロンテスト・コール』を紹介します。
プロンテストシリーズ 発音特訓パック
『 発音特訓パック 』は、身近な会話フレーズを使ったスピーキング練習で正しい発音を習得できるアプリです。
このアプリの特徴は、音声学に基づいて発音を分析し、判定・指導することができる技術「プロンテストエンジン」を搭載していることです。通常、発音というのは、なかなか独学が難しい領域ですが、このアプリがあれば「どこがどう間違っているか」「どこを直せば良いのか」を具体的に教えてもらえるので、独学でも確実に正しい発音を習得することができます。
料金プラン
公式サイト
プロンテストシリーズ プロンテスト・コール
『 プロンテスト・コール 』は、徹底した反復練習で正しい発音と文法を身につけられる英語学習アプリです。
CEFRのレベルアップに向けて「使える英語」を鍛えるには、英語表現や文法を何度も反復練習することが不可欠です。このアプリを使えば、反復してスピーキング練習に取り組むことができます。英語の会話量をなかなか確保できずにお悩みの方や、自分の発音に自信を持って英語を話せるようになりたい方におすすめしたいアプリです。
料金プラン
公式サイト
今回は、近年重要視されている「CEFR」の各レベルについて徹底解説しました。
CEFR(セファール)は国や言語を超えて幅広く用いられているグローバルスタンダードな指標です。これから世界を視野に入れて英語を勉強していくのであれば、目標の一つとして、CEFRを意識すると良いでしょう。
当社プロンテストは、使える英語の「基礎」である発音を身につけられるスピーキング練習アプリを提供しています。発音判定機能で、独学では習得が難しい発音を効果的に自分のものにすることができます。『 発音特訓パック 』または『 プロンテスト・コール 』を使って、英語力ひいてはCEFRのレベルアップを目指しましょう。