靄厓(あいがい)が勉強中の33歳、文政(ぶんせい)11年(1828)頃の作と思われます。これだけ多くの草花を、しかも丹念に描いたものは、靄厓の作品では本絵巻以外にありません。粉本(ふんぽん) 的であるにせよ、独自の用筆が縦横にみなぎり、彩色もよく、美しい作品に仕上がっています。巻末に漢詩人大窪詩仏(おおくぼしぶつ)の長い賛があり、両人の交友を知る上からも貴重な作品です。